2013年 マイケル* は楽天・大阪支社長を辞し、兵庫県西宮市に 英語塾 を開校した。
文法解説しない、単語暗記しない、英文和訳しない、英語本の音読を通じて、ネイティブと同じ英語力(4技能英語)を身につける、一風 変わった英語専門の塾だ。
この記事では、マイケル* がなぜ楽天を辞め、西宮市に 英語塾 を開校したのか。
開校直後にぶつかった理想と現実のギャップ。課題を乗り越えた 新生・英語塾 ABC。新・学習法の効果など 英語塾 ABCの歴史を徹底取材。
3時間に及ぶロングインタビューだったが、見出しと太字を追って頂ければ「スキマ時間」で読めるよう工夫してある。
*マークは、後で説明するので今は意味が分からなくて大丈夫♪安心して読み進んでくださいのサインです。
代表プロフィール
市本 哲也
イチモト・テツヤ(通称:マイケル*)
英語塾 ABC 代表
大阪府に生まれる。大阪星光学院、神戸大学を卒業後、三菱電機に入社。エンジニアとなり神奈川県鎌倉市で独身生活を楽しむ。リクルート(結婚し、2児の父となる)、NTTデータを経て、楽天に入社。楽天・大阪支社長退任後、2013年 英語塾 ABCを開校(西宮北口教室)。2015年には大阪教室を開校する。
*マイケル の名の由来:楽天には通称制度があり、マイケル・ジャクソンと歳が同じだったことからマイケルを名乗る。
英語塾 を開校した理由
2013年 閣議決定により教育再生実行会議* が発足した。
まさにその年、偶然にもマイケルは楽天・大阪支社長を辞し、英語塾 を開校する。
英語塾開校の理由は「楽天の英語公用語化」と「わが子の留学」の2つの経験が大きく関係している。
ただ、教育に携わりたいと思ったのは「A Nation At Risk*」との出会いからだ。
① 教育は国の基盤
2003年 出張先に向かう新幹線の中でのこと。やれ銀座だ、やれハワイだと浮かれた生活を続けていたマイケルに強い衝撃が走る。
「A Nation At Risk*(危機に立つ国家)」ー 1983年 アメリカ・レーガン大統領の時代
ド・ストレートに国家危機の原因が公教育の水準低下にあると訴えるこのレポートとの出会いにより、マイケルは教育に携わりたいと考えるようになった。
わが国は危機に直面している。かつてのアメリカの商業、 工業、 科学、 技術革新における優位さが、世界の多くの競争者に奪われようとしている。そして、その原因が公教育の水準低下にあり、その改革が国家的政策課題である。
*A Nation At Risk
参考:「A Nation At Risk」の全文(英文)
② 楽天の英語公用語化
マイケルが IT企業「楽天」に入社すると間もなく、革命のファンファーレが鳴る。
2010年 Englishnization! ー 会議は英語で。管理職は TOEIC 800点以上取得すること。
マイケルは楽天・大阪支社長の重責を担いながら、TOEIC のスコアアップが急務となった。
休日を返上し、あらゆるTOEIC 対策講座を受講した。会議の前日は決まって徹夜。会議用資料を慣れない英語で作らないといけないからだ。
英語公用語化プロジェクトによって、驚くほどのお金と時間を費やした(涙)
③ わが子の海外留学
マイケルには2人の子ども(長男Xと長女Y)がいる。当時 小3と小1だった彼らはオーストラリアに留学する。
2年だけの留学だったが、得たものは想像以上に大きかった。
彼らは、中学・高校の6年間は英語の勉強に時間を割く必要がなかった。他教科の勉強に全力で集中できたのだ。
その一方で自分は、社長出席会議の前日は英語の資料を作るため毎週、確実に、徹夜だ(泣)
もっと早く英語に向き合っていればと猛省すると同時に、日本の子どもたちが小学生のうちに世界基準の英語教育を受けることの重要さに改めて気づいた。
なぜ 関西に 英語塾 を?
かねてより教育に携わりたいと考えていたマイケルは「楽天の英語公用語化」と「わが子の海外留学」をキッカケに、楽天・大阪支社長の職を辞する。
子どもたちが 日本にいながら 世界標準の英語教育 を受けられる場所の提供 を実現するため、兵庫県西宮市に 英語塾 ABC を開校させた。
30年も東京に生活の拠点を置いていたマイケルがなぜ、関西の地に 英語塾を 開校させたのか。
それは、すでに東京には存在する 世界標準の英語教育を受けられる場所 が、関西には一つもなかったから。
自身が子ども時代を過ごした関西にも 世界標準の英語教育を受けられる場所 が必要だと、強く感じたからだ。
なぜ 西宮市・西宮北口* なのかという問いに答えるとするなら、それは「勘」である(笑)
西宮市は近畿で有数の高級住宅街として知られ、実業界、文化人、プロ野球選手が多く住む。また 関西学院、神戸女学院、甲南大学、武庫川女子大学など多くの学校が存在し、阪急・西宮北口駅は有名な中学受験塾(浜学園、希学園、SAPIX)がひしめき合う。関西・住みたい街ランキング第1位に輝く注目度の高い土地柄だ。
集結!超バイリンガル
西宮北口は2013年から2021年現在まで、9年連続で「関西・住みたい街ランキング第1位」の人気エリア。
マイケルに先見の明があったかどうかはさておき、2013年3月 西宮北口に 英語塾 ABCは開校した。
開校と言っても最初の3ヶ月は準備期間だ。
大阪大学の杉田准教授(2013年4月〜 教授)にお世話になり、大阪大学のスーパー・バイリンガルが西宮北口に集結した。
スタートアップ・メンバー
Miaka
・アメリカ・ラスベガス出身
・カリフォルニア大学
バークレー校(UC Berkeley)卒業
Shingo
・ニューヨーク大学大学院
政治学研究科 修士課程 修了
・大阪大学大学院
国際公共政策研究科 博士課程 修了
Mai
・大阪大学 外国語学部(タイ語専攻)卒業
・オックスフォード大学に交換留学
Nozomi
・大阪大学
外国語学部(英語専攻)
Mizuka
・大阪大学
外国語学部(英語専攻)
Yoshiko
・大阪大学
外国語学部(英語専攻)
Yuka
・大阪大学
外国語学部(英語専攻)
Marina
・大阪大学
外国語学部(英語専攻)
海外での生活経験を持つものや、英語の専門的な研究生だった彼らと、世界標準の英語教育 について議論を重ねた。
文法理解、単語暗記、英文和訳が中心の日本の英語教育から脱却し、ネイティブのように4技能英語(聞き・読み・書き・話す)を身につける学習法を模索した。
そして、彼らの経験と専門的な知見が融合し生まれたのが「英語本の音読を通じて4技能英語を鍛える」学習法だ。
彼らなしに 英語塾 ABC の開校はなかった。
失敗!早過ぎた 英語塾
マイケルたちは、意気揚々と「英語本の音読を通じて4技能英語を鍛える」学習法を提供するが、この時代のお母さまがたには響かなかった。
そう 英語塾 ABC が開校した2013年と言えば、教育再生実行会議* が発足したばかりで、英語教育改革が盛り上がるのはまだ後のことだ。
4技能英語を掲げる英検の受験者数も今ほどではなく、英検1級と準1級だけが4技能であり、2級、準2級、3級でライティング力を測定するようになったのは2016-2017年のことだ。
だから、小・中・高校生の子をもつ親の望みは、将来役立つ4技能英語じゃなく、学校のテストで点を取るための英語だったのだ(泣)
3単元の's'をつけ忘れないこと、スペルを間違わないこと、単語の意味を日本語でしっかり言えることを期待された。
理想と現実に恐ろしいほどのギャップがあった。マイケルたちの4技能英語を身につける学習法は完全に早過ぎたのだ。
一方で、高校・大学進学のため英検2級や英検準1級合格を目指したり、留学を見据えて 英語塾 ABCの学習法に賛同してくださったお母さまも少なからずいた。
関西学院高等部から関西学院大学へ、関西大学第一高等学校から関西大学への内部進学の際、英検2級が進学基準となっていたからだ。
マイケルは時より頂戴する「志望大学への合格」「英検合格」の知らせをよりどころに、4技能英語が常識となる時代の到来を待った。
*教育再生実行会議は、第2次安倍内閣が閣議決定により設置。教育改革を内閣の最重要課題の一つとして推進した。英語教育改革への注目度も高かった。
新生!英語塾 ABC
マイケルとスーパーバイリンガルたちは、4技能英語の時代が到来するのを待ちながら、一つひとつ結果を積み上げていた。
試行錯誤を重ねながら、4技能英語の学習法をどんどん進化させていった。ただ、大きな課題が一つあった。
生徒さんから文法に関する質問をされると、専門知識を持っているからこそ、生徒さんが分かったと言うまで文法解説が続いてしまうこと。
世界標準の英語教育の実現には 文法理解、単語暗記、英文和訳 からの脱却が必要だった。
子どもたちが自身の目、耳、口を使って英語をインプット/アウトプットする「量」こそが4技能英語習得のカギとなるからだ。
講師が長々と文法解説するのは、トレーナーがスポーツ選手に延々と筋肉について解説するのと同じ。
スポーツ選手から大事なトレーニング時間を奪っていることになるのだ。
講師が率先して文法解説するのは、大きな課題なのだ。
ところが、この課題を一挙に解決する出来事が起きた。
2015年、2人の講師(Risa と Valerie)と1人の小学生(Yousuke)の出現によって、それは自然発生した。
Risa
・幼少期をオーストラリアで過ごす
・Marist Brothers International School 卒業
・大阪大学 人間科学部(G30)卒業
・阪大在籍中 UC Berkeley に交換留学
・東京大学公共政策大学院 卒業
・コロンビア大学国際公共政策大学院 卒業
Valerie
・幼少期を海外で過ごす
・13歳で高校卒業(アメリカで飛び級)
・14歳でプリンストン大学に合格
・家族の都合で日本に渡る
・兵庫県立国際高等学校に通学しながらアメリカのオンライン大学に通う
Risa と Valerie は日本特有の「英語の授業」を受けたことがない。
「現在完了形」「過去完了形」など日本語の文法用語を知らない。
当時 小学3年生だった Yosuke は 英会話スクールに通っており、英検3級を取得済だった。
そんな 3人の間で文法解説のない、純粋に英語本の音読を通じて、英語を英語で学ぶトレーニングが突然始まったのだ。
これにより、4技能英語の習得に極めて重要な、インプット/アウトプットの「英語量」が保障された。
これまで講師たちの間には「文法抜きで、英語は理解できない」「英語は、和訳しなければ理解できない」と言う思いが、根強くあった。
英文和訳をせず、文法解説をせず、一体何を教えるのか?とマイケルと議論になった講師もいた。当然だ。
私たちは皆、そうやって英語を習ってきたし、それが日本の英語学習の常識だから。
だが RisaとValerieの出現、そしてYosukeの目覚ましい成長によって、これまでの常識が思い込みに過ぎないと言うことが次々に証明されていく。
新・学習法の効果は絶大
スーパー・バイリンガルたちはレッスンを通じて、子どもたち一人ひとりに新しい常識を浸透させた。
新しい常識とは「文法理解なしで、単語暗記なしで、英文和訳なしで、英語は理解できる」ということ。
その先例となったのが Yosuke(小3)であり、彼が その効果を証明した。
Yosukeは英会話スクールで英語経験があり、英検3級に合格していたが、英語本を読んだ経験はなかった。
ところが1回目のレッスンで、腰を抜かすほどの音読を披露した。
残念ながら初期の記録は残っていないが、レッスンを開始して5ヶ月目「Charlie and the Chocolate Factory(チャーリーとチョコレート工場)」の音読が残っている。
マイケルがぶるぶる震えた音読がコレだ↓↓↓
この音読を聞いたマイケルは、Yosukeの英語力は「跳ねる!」と確信する。
確信を裏づけるように、この音読から1ヶ月後、Yosukeは英検準2級(小3)に合格した。さらに 英検2級(小5)、英検準1級(小6)にも合格した。
もちろん 新・学習法「文法理解なし、単語暗記なし、英文和訳なし」でだ。
小学生と言えば、学校でまだ本格的な英語の授業は行われていない。
その小学生が文法指導しなくても、単語暗記しなくても、英文和訳しなくても、英検準1級に合格できる学習法 がここに確立したのだ。
日本の子どもたちが、世界標準の英語教育を受けられる場所を提供したいと、楽天を飛び出したマイケル。
Yosuke が英検1級に合格したとき、ついにそれは完成する。
2021年 現在、英検1級合格を目指しながら Yosuke は今日も音読を続けている。
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